大判例

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東京地方裁判所 平成4年(ケ)295号

物件明細書<省略>

(別紙)

物件(1) の土地の一部について、福井末男・福井孝子が賃借権を有し、これを賃借地上の件外建物とともに土地所有者(東京ファクス商事)に売った。しかしこの賃借権は、混同(民法五二〇条)によって消滅するものではない。なぜなら上記土地には、土地賃借権の売買よりも前に抵当権が設定されていたからである。

なお、福井両名は、賃借権及び件外建物の売買代金のうち、三億五〇三二万二〇〇〇円が未払となっており、その支払を受けない限り、件外建物から退去しないと主張している。しかし、これを根拠とする土地の留置権(民法二九五条)は成立しない。その理由は次のとおりである。

1 土地は売買の対象となっていないから、上記売買代金は土地に関して生じた債権とはいえず、したがって土地を留置することはできない(留置権は、「物」に関して生じた債権があるときにその「物」について成立するものであるのに、売買の対象となったのは、借地権という権利であって、「物」ではない)。

2 上記売買代金債権は抵当権の設定後に発生したもので、しかもその売買によって抵当権の目的物の価値が増加したり、あるいは価値の減少を免れたりしたわけではないから、このような債権を根拠として抵当権者(買受人)に対して留置権を主張することは許されるべきでない。

(裁判官 村上正敏)

別紙 物件目録

1. 所在 東京都中央区日本橋本町四丁目

地番 四番二

地目 宅地

地積 四二四・三四平方メートル

2. 所在 東京都中央区日本橋本町四丁目四番地二

家屋番号 四番八

種類 浴場・事務所・居宅

構造 鉄筋コンクリート造陸屋根塔屋付五階建

床面積 一階二七二・〇六平方メートル

二階一七六・二九平方メートル

三階二五九・五〇平方メートル

四階二五三・九五平方メートル

五階一八七・四三平方メートル

塔屋一階三三・七一平方メートル

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